来月(2025年4月)から『省エネ基準』の適合が義務化されます。これにより、すべての新築住宅に一定の省エネ性能が求められるわけですが、そもそも『省エネ基準』が何なのかをご存じない方も多いでしょう。
今回は、混同されがちな『ZEH水準』との違いも含めて、4月から義務化の『省エネ基準』について説明します。
近年、気候変動対策として世界的にエネルギー消費の削減が求められています。日本でも、1999年に“次世代省エネルギー基準”が制定され、住宅の省エネ性能向上が推進されてきました。その後、2013年には“改正省エネ基準”が導入され、省エネ性能を持つ住宅の普及が進みました。
しかし、それでも日本の住宅は欧米と比較すると省エネ性能が低いとされていました。そのため、政府は住宅の省エネ基準を段階的に強化し、2025年にはすべての新築住宅に省エネ基準の適合を義務付けることを決定しました。
この流れにより、住宅業界全体での意識が大きく変わろうとしています。
ここからは、省エネ基準の具体的な内容について見ていきましょう。
省エネ性能を確保するために必要な構造・設備に関する基準で、建物の断熱性能と一次エネルギー消費量基準で構成されます。
※一次エネルギー消費量…空調、給湯、照明などで使用するエネルギーを熱量に換算した値
断熱性能、一次エネルギー消費量ともに、地域ごとに定められた断熱等性能等級4の基準をクリアする必要があります。
福井市や鯖江市、越前市は東京や大阪などの都市部と同じ6地域に該当するため、熱の逃げにくさを示すUA値は0.87W/㎡・K。日射熱の入りやすさを示すηAC値は2.8が基準となります。
(画像引用:国土交通省|省エネ性能表示制度)
(画像引用:国土交通省|省エネ性能表示制度)
省エネ基準に適合するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。その中でも重要なのが、断熱性能の向上と高効率な設備の導入です。
住宅の断熱性能を高めるためには、外皮性能をしっかりと高めること。そのためには、断熱材の種類や厚みが重要なポイント。
また、熱が出入りしやすい窓の性能も、住宅の断熱性を大きく左右します。アルミサッシではなく樹脂サッシ、ガラスはLow-E複層ガラスを採用することで、熱の逃げを抑え、より快適な室内環境を実現できます。
※外皮性能…建物の外壁、窓、床、屋根などの外周部の断熱性能
住宅の省エネ性能を高めるためには、高効率な給湯器や冷暖房器具の導入も欠かせません。エコキュートやハイブリッド給湯器は、従来の給湯設備に比べて大幅にエネルギー消費を削減できます。また、照明はLEDを標準とし、スマート家電を活用することで、電力の無駄を抑えることができます。
ZEHは“ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス”の略称で、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにする住宅のこと。
1.省エネ基準を上回る断熱性能
2.高効率な設備を導入することでエネルギーを効率的に使う
3.太陽光発電などでエネルギーを創出する
※福井県はZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)地域に該当するため、太陽光パネルは必須条件ではない。
・光熱費を大幅に削減できる。
・環境負荷が少なくなる。
・快適で健康的な室内環境を実現できる。
・補助金制度を活用できる(ZEH補助金)。
項目 | 省エネ基準 | ZEH水準 |
断熱性能 | 断熱等性能等級4 | 断熱等性能等級5 |
エネルギー消費量 | 一定の削減が必要 | 実質ゼロ |
創エネ(太陽光発電など) | 必須ではない | 基本必須 |
補助金 | なし | あり |
来月以降、省エネ基準に適合した住宅は“高性能”な住宅ではなく、“最低限の省エネ性能を有した”住宅として扱われます。
国でもZEH水準以上を推奨しており、5年後の2030年にはZEH水準が義務化となる予定。
より高い省エネ性と快適性を考えるなら、ZEH水準を目指すのがよいでしょう。補助金制度も活用できるため、導入のコスト負担も軽減できますし、電気代などのランニングコストを削減できるため、長期的に見ればコスパがよいといえるでしょう。
今後の住宅トレンドとして、省エネ基準のさらなる強化が予測されます。2030年にはZEH水準が標準仕様となる可能性が高く、それ以上の性能を持つ断熱等性能等級6の住宅もますます増えていくでしょう。
さらに、AIによる電力管理や自動制御システムを取り入れることで、より効率的な省エネ住宅が実現できます。
断熱性能を高め、高効率な設備を導入することで、より快適で経済的な暮らしを。ZEH住宅や最新のスマートホーム技術を活用し、未来の省エネ住宅を見据えた家づくりを。
こうした形が、これからの住宅のスタンダードになっていくのではないでしょうか。